東京高等裁判所 昭和56年(ネ)258号 判決
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【判旨】
控訴人は、増改築による基礎工事は土地の原状変更となると主張する。しかし、非堅固建物の基礎工事は堅固建物の場合に比し小規模かつ軽構造であることは経験則上明らかであつて、通常、土地の原状変更にはあたらないと解すべきところ、本件建物は木造平家建であつて、増改築にあたり、とくに大規模かつ重構造の基礎工事を施行したことを認めるに足りる証拠はないから、控訴人の主張は採用できない。
次に、控訴人は、本件契約における無断原状変更禁止の特約は土地賃貸借契約に通常規定される無断増改築禁止の特約と解すべきであると主張する。しかし、土地賃貸借契約において賃借権無断譲渡・転貸禁止の特約が規定されているからといつて常に同時に無断増改築禁止の特約が規定されるとは限らないことは経験則上明らかであり、右両特約が常に同時に規定されることを前提とする控訴人の右主張は失当である。
さらに、控訴人は、本件のように平担な更地の賃貸借にあつては、右特約は無断増改築禁止の趣旨と解すべきであると主張するけれども、賃借地上の建物の増改築が当然には賃借地の原状変更にならないことは前述のとおりであるから、本件が平担な更地の賃貸借だからといつて、無断で賃借地の原状を変更することを禁止した規定を、直ちに無断で賃借地上の建物の増改築を禁止したものと解するのは相当でなく、所論をもつて合理的な意思解釈だとする控訴人の右主張も理由がない。
(岡垣學 手代木進 上杉晴一郎)